研究のすすめ方

研究方法

本研究では、以下の4つの「統一課題」を設定します。第一には、紛争が発生する機序と実態の解明、第二には、アフリカ社会の基礎的な潜在力の同定、第三には、外部から移入される要素と在来の潜在力とのインターフェイス機能の解明、そして第四には、国際社会からもたらされる外来の解決方法に関する研究と在来の潜在力に関する研究成果を連接するための思考実験的な研究です。

この4つの課題を解明するために本研究では、アフリカにおける長期のフィールド経験をもつ多分野にわたる第一線の研究者を結集し、フィールドワークを基礎とした地域研究の方法論によって研究をすすめます。有機的連関をもって研究を推進するためには、基軸となる「全体会議」のもとに4つのテーマ別「研究ユニット」と4つの地域別「研究クラスター」を交差させる研究体制を構築します。そして、国際的な議論を深めるために「アフリカ紛争・共生フォーラム」を毎年アフリカ各地で開催します。また「紛争・共生をめぐるアフリカの潜在力データ・アーカイブ」を作成して公開します。

研究体制

「全体会議」

このプロジェクトでは異なる分野・地域の専門家の連携によって「紛争と共生」に関する総合的・学際的な地域研究をすすめます。メンバー全員が参加する「全体会議」は、アフリカの紛争と共生に関する情報や研究成果を共有するとともに、自由な意見交換を活発におこなうことによって、このプロジェクトを牽引するエンジンとなります。

テーマ別:研究ユニット

このプロジェクトでは、「政治・国際関係ユニット」「経済・開発ユニット」「生業・環境ユニット」「社会・文化ユニット」という四つの「研究ユニット」を組織して、「紛争と共生」をめぐるテーマ別の研究をすすめます。各ユニットの研究成果は全体会議に報告してメンバー全員で共有し、また、ユニット間を架橋する研究も推進します。

地域別:研究クラスター

「紛争と共生」をめぐる研究には、地域の視点を欠くことができません。このプロジェクトでは、「北東アフリカ・クラスター」「東アフリカ・クラスター」「西アフリカ・クラスター」「南部アフリカ・クラスター」という四つの「研究クラスター」を組織して、各地域に固有の問題を抽出・探究します。また、上記の「研究ユニット」との連携による研究もすすめると同時に、こうした研究成果は全体会議に報告し、メンバー全員で共有します。

国際シンポジウム・フォーラム

本プロジェクトでは、アフリカ人をはじめとする外国人研究者やNPO関係者などとの共同作業による研究を実施します。そのために毎年、アフリカ各地で「紛争・共生フォーラム」を開催し、また、3年目と5年目には国際シンポジウムも実施します。

公開ワークショップ・公開講座

研究成果を広く公開し、関連する研究者たちと情報や意見を交換することによって、研究をいっそう深化させるために、公開ワークショップを開きます。また、公開講座や学術講演会を開催して、研究成果を社会に還元します。

紛争・共生をめぐるアフリカの潜在力データ・アーカイブ

紛争がひきおこされる原因やメカニズムとともに、紛争を解決するためにアフリカの人びとがおこなう仲裁・調整の方法や平和構築の努力、紛争を未然に回避するしくみ、他者を許容する態度などをデータ・アーカイブに収録し、地域間の比較をとおして、将来のアフリカにおける紛争の予防や解決に寄与することをめざします。