[第5回班研究会] 言語・文学班第5回研究会(2017年10月14日開催)

日時:2017年10月14日(土)11:30~14:00
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階中会議室

報告タイトル1:ヨルバ・ポピュラー音楽の発展に見る民族的要素の変遷
氏名:塩田勝彦
所属:大阪大学外国語学部非常勤講師

ポピュラー音楽の成立過程には、一般に文化の混淆が見られる。ヨルバのポピュラー音楽は、その構成要素の一つであるヨルバ伝統文化の成立過程において、すでに借用、混淆のあとがあり、重層的な混淆過程を経た複合的文化であることがわかる。

また、「ジュジュ」のようなポピュラー音楽が、そもそもヨルバ的要素をまったく含まない外来音楽から作られながら、伝統的な音楽や文学から表現技術を導入し、ヨルバ音楽の持っていた言論装置としての機能を強めながら、ヨルバ民族意識が発展していくのと歩調を合わせるように「新たな伝統音楽」として民族色を強めていく様は、アフリカにおける伝統文化再構築の一つのモデルとして捉えることができるであろう。

報告タイトル2:文学・音楽・潜在力―反アパルトヘイトの現代的意義
氏名:佐竹純子
所属:プール学院大学短期大学部

私は「アフリカ潜在力」が文学や音楽に息づいていることを明らかにしたい。その第一歩として、南アフリカ共和国(以下、南ア)内外の反アパルトヘイト運動において歌い継がれた合唱曲で、現在は南ア国歌の一部になっているNkosi Sikelel’ iAfrika の変遷の一端を報告した。1897年に作られたコーサ語の原曲は、西洋キリスト教の讃美歌の和声と、南アに伝わる呼応歌唱が融合した心に響く合唱曲である。

1997年には呼応部分が省かれ、アパルトヘイト時代のアフリカーンス語による国歌を合体させ、和解を象徴する新国歌に変身した。さらに、最近の#FeesMustFallなどの学生運動では、生まれかわった「国歌」が歌われる。コーサ語の最初の数行だけを残し、ズールー語とショナ語の歌詞が加えられ、一貫して呼応形式で、アフリカーンス語や英語は消えた。「脱植民地化の国歌」とも呼ばれ、アパルトヘイト後も残された課題に立ち向かう人びとに支持されている。今後はこのような合唱曲がなぜ影響力を持ち続けるのか、歌唱の現場や文学との関連もふくめ、掘り下げていきたい。

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