[政治・国際関係ユニット第1回研究会]佐々木和之「地域共同体裁判『ガチャチャ』は和解の促進に貢献したのか?」(2011年10月28日開催)

日 時:2011年10月28日 (金) 10:30~12:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館3階小会議室1

プログラム

題目:「地域共同体裁判『ガチャチャ』は和解の促進に貢献したのか? 」
講演者:佐々木和之氏(Faculty of Development Studies, Protestant Institute of Arts and Social Sciences (PIASS))

報告

ルワンダにおいて、ガチャチャは国家が定めた法に基づく刑事裁判でありながらも、慣習的な紛争解決規範に基づき、加害者による謝罪や賠償を重視するなど、地域共同体レベルの和解を志向して実施されたことから、移行期正義の修復的アプローチとして注目されてきた。審理件数は120万件を超え、その活動を終えつつあり、現在その終結宣言が待たれている最終段階にあるが、その裁判記録の修正などで終結宣言の見通しが不透明である。本研究会において、佐々木氏は、修復的正義と応報的正義の関係性、ガチャチャの概要に関しての紹介を行った後で、制度設計上有していた修復的特徴について説明を行った。さらに、ガチャチャに対する様々な批判(適正な法手続の不備、「勝者の裁き」)を踏まえ、制度設計上試みられた修復的特徴が生かされたのかに関する評価が示された。フトゥの消極的なコミットメント、加害者の自白の信憑性、公益奉仕刑が公共事業向け労働力のプールとなっている点、そして国家補償の不履行といった観点から、制度が意図していたと考えられる修復的成果をあげることができなかったというのが、主な結論である。そして、この理由としては、これまでの批判としてもあげられてきた「勝者の裁き」とも通底するが、「正義と和解」という取り組み自体が、現在のルワンダにおいてきわめて政治化されているという背景が関わっており、そもそもその制度設計を含め、こうした取り組みが「誰のために」なされているかに関する問題が付随しているためである、という点が改めて確認された。

今回の報告に対して、出席者からは従来のガチャチャとの差異や、今回のガチャチャがこれまでのガチャチャのあり方に及ぼした影響などに関する質問が出された。さらには、今回の取り組みが「記録」され、将来世代に影響を及ぼしうるのかというアーカイブ化と、その記録が持ちうる政治性などに関わる論点も提起された。さらには、今回のガチャチャの取り組みが修復的正義の実現と成功しなかったとしても、今後これを触媒とした新たな取り組みがあり得るかといった論点も提起された。このほかにも、佐々木氏の現地における調査に関するこれまでの経緯などについての質問も出され、活発な議論が行われ、予定を30分以上超過し、盛況のうちに閉会した。(遠藤貢)

 

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