[経済・開発ユニット第9回研究会 / 東アフリカ・クラスター第6回研究会]「ケニアとタンザニア-土地政策の異なる歴史-」(2014年07月19日開催)

日 時:2014年7月19日(土)10:00~12:30
場 所:京都大学稲盛財団記念館3階小会議室2

プログラム

「ケニアとタンザニア-土地政策の異なる歴史-」
津田みわ(日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター アフリカ研究グループ長代理)
池野 旬(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 教授)

報告

アフリカ諸国で現在多発している土地をめぐる種々の対立の原因・展開過程・調整方策を検討するにあたって、各国での土地政策の多様な歴史的背景に配慮する必要がある。そのような発想のもとに、具体的な事例として、同じく旧イギリス領でありながら、明白に異なる土地政策を展開してきたケニアとタンザニアを比較して紹介した。

ケニアについては、津田みわ氏が報告した。ケニア海岸部の10マイル帯は、植民地期にザンジバルのスルタンの勢力範囲であると認定され、アラブ人やスワヒリ人に大規模な土地の保有が認定された。そして独立後に、内陸部の民族集団、なかでもキクユが海岸部に土地を確保するようになり、現地の民族集団ミジケンダの不満が高まった。近年に海岸部で暴動が発生している背景には、このような土地問題が潜んでいる。

タンザニアについては、池野が報告した。タンザニアにおいては、1970年代のウジャマー村建設期に、植民地期から認定されてきた慣習的な土地権が曖昧となった。1999年には「土地法」や「村落土地法」が発布され、「慣習的占有権」が再定義・再認定されたが、必ずしも慣習的とは言えない権利を含む定義であり、今後問題が発生する危険性を秘めている。(池野旬)

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