[北東アフリカ・クラスター第5回研究会]眞城百華「エチオピア・エリトリア関係の現状と史的検討」(2014年01月25日開催)

日時:2014年1月25日(土)10:00~12:00
場所:京都大学稲盛財団記念館3階318号室

プログラム

「エチオピア・エリトリア関係の現状と史的検討」
眞城百華(津田塾大学)

報告

1993年に独立を果たしたエリトリアだが、独立後の国家運営ならびに対外関係が北東アフリカにおいても注視されている。本報告では、まず独立後20年が経過したエリトリアの内政、外交関係について取り上げた。独立後、国政選挙は実施されていない。内政において特徴的なナショナル・サービス、国内外における移動の規制、経済政策について説明がなされた。また世界中に約100万人いるといわれるエリトリア・ディアスポラによるディアスポラ税や送金が同国経済に及ぼす影響も2009年以降実施されている国連制裁との関係で述べられた。ソマリアのアッシャバーブへの軍事支援と関連して行われている制裁が同国の政治、経済に与える影響についてもふれられた。国連制裁、国政選挙の実施、世代交代、硬直した政治体制の変革など現政権が抱える課題は多い。

エリトリアの現政権による政策を特徴づけるのは「孤立主義」である。一見不可解に映るこの孤立主義は、1961~1991年のエチオピアからの解放闘争期、とくに1970年代以降に外国援助を受けることができず孤独な戦いを強いられた歴史を振り返ると、理解できる部分もある。将来を考えるうえで重要なのは隣国エチオピアとの関係であるが、エチオピア政府は2005年ごろからエリトリア難民の受入に積極的になっており、エリトリアの反政府勢力もエチオピアを拠点にした活動の可能性について議論していることから、関係改善は容易ではない。隣国エチオピアとの関係のみならず北東アフリカ政治の文脈でエリトリアを捉えなおす必要も指摘された。1940年代以降のエチオピア・エリトリア関係史から現在の両国関係を再考すると、エチオピアとアメリカの蜜月がエリトリア、エチオピア、ソマリア関係にも影響する構図が現在の対テロ戦争の文脈でも再現されているといえるだろう。

討論の時間には、エリトリアの憲法草案はリベラルで先進的なものだったとされるが憲法はすでに施行されているのか、PFDJの民族構成はどのようなものか、政権はいかなる意図のもとにソマリア内戦への関与をおこなったのか、ディアスポラは現政権をどう評価しているのか、といった問いが出された。また、現在のエリトリアのあり方はエチオピアとの歴史的な関係によって多くを規定されており、エリトリアの変化はエチオピアの変化とともに起きるのではないか、といった指摘がなされた。
(眞城百華、佐川徹)

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