[班研究会] ジェンダー・セクシュアリティ班第10回研究会(2019年1月26日開催)

日時:2019年1月26日(土)14:00-16:30
場所:京都大学稲盛財団記念館小会議室1

タイトル:「エチオピア西南部マーレにおける子どもの世帯間移動と家族の紐帯」
発表者:有井晴香(京都大学)

アフリカ社会において拡大家族のなかで子どもの養育が考えられることによる子どもの世帯間移動は多くみられてきた。本報告では、とくに遺棄された子どもに注目して、実子の養育を放棄する状況がいかにして生じるのか、また遺棄された子どもの養育がどのような文脈でおこなわれているのかについてエチオピア西南部マーレ社会の事例を報告した。婚外子と特定の禁忌に触れたドゥーニと呼ばれる子どもがいかに遺棄されまた同時に保護されるのかについて検討した。婚外子の場合、その多くは親族がひきとり養育されてきたのに対して、ドゥーニは災いをもたらす存在として殺害されてきた。こうした嬰児殺しの慣習は、政府による取り締まりやプロテスタント信仰の広がりを背景にほとんど見られなくなっている。現在では、ドゥーニという考え方は在来信仰特有のものであり、改宗者にとっては無害な存在であるとして、血縁ではない改宗者がドゥーニを保護・養育する事例を報告した。メンバーからは、土地制度とのかかわりや子どもの認知に関する価値規範についてコメントを得た。

(有井晴香)

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