[東アフリカ・クラスター第5回研究会]小川さやか「タンザニアの路上商人による暴動と組合化―ストリートの指示とインフォーマル性の再考」(経済・開発ユニット第5回研究会との共催、2013年07月13日開催)

日 時:2013年7月13日(土)10:30~12:30
場 所:京都大学 稲盛記念館 3階 小会議室Ⅰ

プログラム

タンザニアの路上商人による暴動と組合化―ストリートの指示とインフォーマル性の再考
小川さやか(立命館大学 先端総合学術研究科)

報告

2010年10月にタンザニア・ムワンザ市で実施された選挙では、スワヒリ語のスラングを使った街頭演説、若者による路上デモの組織化、SNS(facebookやtwitter)の活用といった「政治のストリート化」がみられた。この選挙では、路上商人(マチンガ)の問題がひとつの争点となった。マチンガの組合SHIUMAは2006年、市当局に対して市中心部の市場建設を要望したが、断られた。一方、野党CHADEMAは市中心部に専用デパート、マチンガ・コンプレックスの建設を選挙公約に入れ、ムワンザ市の国会議員選挙では野党CHADEMA(民主開発党)が与党(CCM)に勝利した。しかし、マチンガ・コンプレックスに入ることをめぐって、マチンガ組合に参画するマチンガたちの分裂を生み出し、異なる業種や宗教、営業場所にもとづく、さまざまな組合が結成されるにいたった。コンプレックスで営業をはじめたマチンガたちは、高い賃貸料を支払う必要があり、かならずしも成功を意味するものではなかった。CCMによる資金貸与をきっかけに、SHIUMAが分裂する。マチンガの多様性から「一貫した中身のなさ」に肯定的な態度がみられ、マチンガ組合に参加する目的はマチンガを脱することにあり、多様な政党や機関との連携を模索しながら、利益を引き出せる政党・団体と連携していくことが重要だと指摘された。これらの動きを、おもにタンザニアにおける政治動向とのつながり、マチンガ組合のもつ政治性について議論された。(大山修一)

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