[社会・文化ユニット第5回研究会]内藤直樹「排他的領域性を超えるローカルな実践」、木村大治「コンゴ民主共和国ワンバにおける『土地をめぐる権利』の諸相—日常的利用、歴史的所有、自然保護区」(2012年07月07日開催)

日 時:2012年7月7日 15:00~18:15
場 所:京都大学稲盛記念館3階小会議室1

プログラム

15:00〜16:30
内藤直樹(徳島大学)
「排他的領域性を超えるローカルな実践」
16:45〜18:15
木村大治(京都大学)
「コンゴ民主共和国ワンバにおける『土地をめぐる権利』の諸相—日常的利用、歴史的所有、自然保護区」

報告

内藤氏は、まずケニアにおける先住民運動や選挙後暴力を事例に、近年の土地と文化の結びつきの強化が文化的他者に対する排除を強化している傾向を指摘した。そしてケニア政府が排他的な難民庇護政策を実施するなかで、東部のダダーブ難民キャンプのソマリ系長期化難民が、携帯電話やインターネットなどのニューメディアを活用してケニア市民をはじめとする外部世界の人々との間に築きあげた諸関係をどのように理解するべきか議論を行った。質疑応答では、国境を越えて分布するソマリのネットワークが、難民の生活世界の再編にどのように影響しているのかという質問や、ケニアの難民のようなシティズンシップを剥奪された状況にある人々をはじめとする国家と人々との多様な結びつきのあり方をどのように考えるのかついて議論が繰り広げられた。

木村氏はコンゴ民主共和国(旧ザイール)のワンバで生活するボンガンドの人々の生業活動や、土地利用の概要を述べた後、近年、自然保護区が設定されるプロセスのなかで生じている紛争の背景には、ボンガンドの人々の移住の歴史や、リネージ同士の対立があることを提示した。質疑応答では、森の利用方法に明文化されたルールがあるのか(あったのか)、自然保護区以外に関する紛争が生じた場合には、集団間でどのような解決方法が採用されているのか(きたのか)、紛争の主体となっている単位が、近年作られたものである可能性や、実は以前から外部と頻繁に接触し、交渉に長けた人々である可能性、町から帰ってきた人々が近年のリーダ的存在になっている可能性、内戦中に交渉する術を学んだ人々である可能性などが考えられ、ボンガンドの人々が経験してきた詳細な歴史を明らかにする必要があるという点が確認された。(伊藤義将)

カテゴリー: 社会・文化(テーマ別研究ユニット) パーマリンク