[海外出張報告] 中和渚(教育・社会班)ザンビア共和国・ルサカとマザブカ 海外出張期間:2019年3月6日〜18日

「ザンビアにおける子どもたちの遊びと幼児教育の現在」
中和渚

(派遣先国:ザンビア共和国・ルサカとマザブカ/海外出張期間:2019年3月6日〜18日)

アフリカ諸国において就学前教育の拡充が進められている。これまでザンビアにおいては、就学前教育は私立学校にて主に実施されてきた経緯があるが、近年、ザンビア一般教育省のイニシアチブにより、政府系小学校において就学前教育の教室の設置と教員の配置が進められている。ここ数年の公立小学校における就学前教育の設置に関する展開はめざましいものがある。この急速に進められる量的拡大の中で、教育の質は担保されているのかどうかが疑問である。そこで調査者は数年来続けている就学前教育の現状を調べるとともに、学校外で行われる子どもたちのインフォーマルな遊びについてフィールドワークを行い、アフリカの潜在力についてアプローチすることを目指している。調査としては下記の3点を実施した。今回の調査では特に③に注力してデータを収集したため、その内容を以下に報告する。

① 公立小学校を訪問し、特にアートのクラスでどのような遊びや取り組みを行っているのかについて明らかにした。
② 国・郡の教育関係者、研究者、教員と現状や課題、子どもの様子について意見交換を行った。
③ ルサカ州ルサカ郡と南部州マザブカ郡において子どもたち(主に小学生)が学校内外においてどのような遊びを行っているのかを調べた。

③ について子どもたちの日常生活の中で、彼らがどのような遊びを行っているのかを大人・子どもたちに聞き取りし、観察した。特に、10-14歳の子どもたちの遊びに参加して、様々な遊びについて情報を得た。その結果、女児は様々な手遊びと歌を組み合わせて、身体的な遊びを行っていた。ザンビアの文化的な舞踊や歌に類似した動きもあれば、英語の歌を歌う場合もあった。また、遊びの中で、自然と3―4名の小グループのリーダーになったり、ルールを確認したりして、様々なコミュニケーションを行っていた。ルールは複雑だが、勝ち負けがはっきりしているもの・そうでないものがあった。女児グループは育児や家事をしながら合間に遊んでいた。男児はザンビアで人気のサッカーやフットサルを行っており、女児のように育児を手伝う姿は見られなかった。男児らは女児らが行う歌と手遊び、人間綱引きのような遊び、宙返りなど、女児にくらべて激しく身体を使う遊びを行っていた。放課後に子どもたちは家で遊んだり、学校に戻ってきて遊んだりしていた。遊具がある学校・場所に関しては、ブランコやタイヤ渡り、一本橋渡りなどしている子どもたちも少なくなかった。高校生になるとバレーボール、バスケットボールなどの球技を行ったり、放課後には小グループで集まって会話したりする姿が見られた。

今後は③についてデータを分析し、学校内の授業で行われている遊びと、学校外で行われている遊びを比較したりして、学校外における子どもたちの活動や遊びについての良さや価値、学校教育に対するインプリケーションを明らかにしたい。

調査写真

This entry was posted in fieldrepo. Bookmark the permalink.