研究内容

研究体制

本研究の研究計画は以下の三段階で構成される。

第一段階は、アフリカ社会が直面している問題を歴史的経緯と社会的動態のなかで同定し、多種多様な処方箋を洗い出す。
第二段階では、処方箋の比較検討を通して「アフリカ潜在力」の効果や作用メカニズムを検討する。
第三段階では、「アフリカ潜在力」が様々な分野の問題解決において有効に機能する領域を特定し、その領域に対して集約的な共同調査を実施する。

そのための研究方法としては、三つの系(自然・環境、社会・共生、身体・継承)にそれぞれ二つの研究班(身体・継承系には三つの研究班)を設け、それらの成果を学際的に統合する総括班をコアにして7班を有機的に連結させる。研究班は女性研究者の中核的参加と各世代のアフリカ研究者、および「アフリカ潜在力」に共鳴する8名の第一線のアフリカ人研究者の参加を特徴としている。

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研究計画

この全体図で示されているように、長期のフィールドワーク、共同研究会・全体会議、そして成果の発信から構成される。最終年度には、カメルーンのLANGAA出版を通じて英文論集「アフリカ潜在力」三巻を刊行する予定である。

また計画中途で問題が発生した場合の体制も整えている。内戦などで調査の継続が困難な場合には、各分担者が同じ問題意識で調査ができる第二調査地に移行して計画を継続する。また計画の第二段階終了時に中間点検を実施し、アフリカ潜在力の実効性を検討する最適なテーマに研究を集中できるよう、研究分担の修正、研究班の再編成を検討する。

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研究方法

研究方法の基本は、徹底したフィールド主義にある。日本のアフリカ研究の特徴である長期の集約的フィールドワークにもとづき、現場の生活感覚を人々と共有するなかでアフリカ潜在力にもとづく問題解決の処方箋を検証する。

また事務局を置く京都大学は、サハラ以南アフリカの計7カ所(エチオピア、ケニア、タンザニア、ザンビア、ナミビア、カメルーン、ニジェール)にフィールド・ステーションを設置し、現地との協力体制を整備している。さらにアフリカ各地に8カ所(マケレレ大学[ウガンダ]、アジスアベバ大学[エチオピア]、アフリカ・アメリカ国際大学[ケニア]、バハル・エル・ガザール大学[南スーダン]、ジンバブエ大学[ジンバブエ]、ケープタウン大学[南アフリカ]、ローズ大学[南アフリカ]、ヤウンデ第一大学[カメルーン])の「アフリカ潜在力」パートナー拠点が形成されている。本研究ではこれら既存のインフラを活用し、全体計画を円滑に進めていく。

さいごに、「アフリカ潜在力」をともにたちあげ発展させてきたアフリカ人の中核的研究協力者をふくめ、現地のコミュニティリーダーや実務家、アフリカのNPOや政府/国際機関など多様なアクターと連携して、「アフリカ潜在力フォーラム」をアフリカ各地で開催して、アフリカ潜在力研究を進化させる。

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