[班研究会] 対立・共生班第8回研究会(2018年11月3日開催)

日時:2018年11月3日(土)11:30 – 13:50
場所:京都大学稲盛財団記念館小会議室1

報告タイトル:対立も共生もできなくなった人びと:コンゴ川の元国境トレーダーと国家の30年
発表者:戸田美佳子
所属:上智大学

今回の班会議では、「対立も共生もできなくなった人びと―コンゴ川の元国境トレーダーと国家の30年」というタイトルで、班員の戸田による研究の進捗状況についての発表がおこなわれた。具体的には、コンゴ共和国のブラザビル市とコンゴ民主共和国のキンシャサ市で暮らす障害者が実践するコンゴ川をはさんだ国境ビジネスを対象として、国家の統制や規制の強化が進む両国において、障害者が国家といかなる関係を結んでいるのかを論じた。

発表者からは、異なる生活基盤のなかで生計を維持する障害者の姿はまさにアフリカ諸社会の「潜在力」を示す一方で、港の閉鎖という政策転換によって突如生活の場を奪われた彼らの苦悩からは対立も共生もできない個人の姿があり、こうした変化を踏まえて「潜在力」を検討し直すことが今後の課題として挙げられた。

発表後の質疑応答では、アフリカ諸社会においては都市開発など国家の介入によって生活の場を失われる現象はしばしばあり、元障害者トレーダー達の現状を把握した上で、その変化を捉えることが重要であると指摘された。

戸田美佳子

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