[南部アフリカ・クラスター第3回研究会]村尾るみこ「『共生』を再考する―ザンビア西部州における農地利用に注目して」(2012年7月20日開催)

日 時: 2012年7月20日(金) 17:00~19:00
場 所: 東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1

プログラム

「共生」を再考する―ザンビア西部州における農地利用に注目して
村尾るみこ(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所)

報告

ザンビア西部州では植民地時代、バロツェ協定によるロジ王国の自治が認められてきたが、1964年のザンビア独立時に政府によって協定が一方的に破棄された。西部州では自治の獲得に対して根強い運動が継続されており、2011年の大統領選挙で勝利したサタ新大統領の公約もあって、ロジ王国を中心とする独立運動が本格化している。アンゴラの内戦によってザンビア西部州へ移住してきたンブンダという民族の人びとが、民主化、経済成長、新土地法の政策のもとで、どのように農地利用をしているのかを議論した。人々は1940年代以降にアンゴラより移住し、ロジ王国の慣習地においてキャッサバ栽培を中心とする焼畑農耕を営んでいる。1970年代に、移住はピークに達した。移住民はザンベジ川の氾濫原では耕作することは許されず、アップランドの貧栄養なカラハリサンドにおける耕作活動のみが許されている。移住民はリンボと呼ばれる居住集団を構成し、3~4世代の親族または婚姻、知人・友人関係が結ばれている。リンボの長は農耕儀礼や土地の分配について重要な裁量をもつ。焼畑に隣接する森林については、焼畑をすでに開墾している者が、開墾の権利をもつ。現行の移住民の焼畑農耕は広大な面積を必要とし、自然林の減少とともに、やがて立ちいかなくなる危険性が高く、生計経済を多角化する動きがある。リンボや村など社会組織のあり方、流動性のきわめて高い社会集団における土地の交渉について、議論がなされた。(大山修一)

カテゴリー: 南部アフリカ(地域別研究クラスター) パーマリンク