[全体会議] 第14回全体会議「ルサカ・フォーラムにむけて」(2019年11月2日開催)

日時:2019年11月2日(土)15:00~17:15
場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室

はじめに、事務局から以下5点に関する連絡がおこなわれた。

1)次世代調査支援
2)アクラ・フォーラム成果出版
3)ASMサプリ『Agricultural Practices, Development and Social Dynamics in Niger』と、サム・モヨ氏追悼本『Land, the State and the Unfinished Decolonisation Project in Africa』の出版
4)プロジェクト成果出版
5)中間評価
6)ルサカ・フォーラムなど今後の予定

引き続き、「ルサカ・フォーラムにむけて」がおこなわれた。プロジェクトリーダーの松田素二(京都大学)より12月6日~8日におこなわれるルサカ・フォーラムの趣旨説明が行われ、フォーラムで発表予定の4名の発表があった。司会は大山修一(京都大学)が務めた。発表者、タイトル、発表内容は下記のとおりである。

発表者1:中和渚(関東学院大学)Nagisa Nakawa (Kanto Gakuin University)
タイトル:Guided Participation as a Means of Classroom Interaction in Zambia: Observing Children’s Play

ザンビアでは、幼児教育に比べると、初等教育の現場において、子どもの積極性があまりみられない。では子供たちは、学校外でどのような遊びをしているのか。発表者は、子どもたちの学校外での遊びや学びを分析し、その相互行為を観察した。子どもたちの遊びは、英語、現地語(トンガ語)、その他民族語などマルチリンガルで、ときに「造語」がつくられていた。手遊び、石遊び、土に穴を掘っての遊びなど、遊びに共通性がみられた。また、さまざまな年齢の子ども(ときに大人)が一緒に遊び、そのなかで手助け、協力、分担などの行為がみられた。最後に、このような学校外での遊びにみられる創造性や積極性を、学校教育においてどのように活かせるのかが論じられた。

発表者2:松平勇二(兵庫県立大学)Yuji Matsuhira (University of Hyogo)
タイトル:日本人によるジンバブエ音楽実践の宗教的側面
(Potentials of African Music: A Case of Zimbabwean Music in Japan)

発表者は、ジンバブエの楽器であるンビラ(親指ピアノ)が、日本人の宗教観に与える影響について論じた。日本においてンビラは、個人の楽しみや余興、音楽ビジネス界での演奏など娯楽要素が強い。一方、ジンバブエでは、ンビラは娯楽のみならず、祖先(ムズィム)祭祀における憑依儀礼に欠かせない楽器であるなど、宗教的側面をもっている。日本にンビラが導入されて30年以上がたった現在、ンビラによって、コンサートでトランス状態になる客があらわれたり、宗教的体験に誘われる演奏家がいたりするなど、日本の土着信仰とのシンクレティズムが起こっているという。このように発表者は、ジンバブエ(のショナ社会)の宗教思想やそれを体現するンビラの音楽が、日本人の宗教観を変える可能性を論じた。

発表者3:杉山祐子(弘前大学)Yuko Sugiyama (Hirosaki University)
タイトル:社会包摂的プロセスとしてのイノベーション:ザンビア北部州ベンバの事例から
(英語タイトル “We Have Already Tried It, Only Politicians Just Don’t Know It”: Making Innovation Socially Inclusive Among the Bemba of Northern Zambia)

発表者は、ザンビア北部州ベンバのイノベーションの特徴についてFolk/local Innovation Historyの視座から分析をおこなった。ベンバ社会では、長期的に安定した食料確保を重視する生計戦略がとられる。そこには「持つ者が持たざる者に分け与える」原則があり、それが広範囲の相互扶助ネットワークを生み出していた。また、この生計戦略が「食の選択肢を増やす」選好性につながり、農耕システムが歴史とともに変化する中で栽培植物の種類が増えてきた。生計活動の中で村人の誰もが小規模な試行を実践しており、これが安定を確保しつつ多様な革新の可能性を広げていた。さらに、現金経済の浸透によって「雇用労働」の在地化や「酒の販売」の在地化が起きた。そこでは、新しい技術が広がる過程で生産資源へのアクセスが開かれ、持たざる者も含めた全体への普及につながっていた。

発表者4:佐藤哲(愛媛大学/総合地球環境学研究所)Tetsu Sato (Ehime University & Research Institute for Humanity and Nature)
タイトル:Potentials of Sustainability Transformations Emerging from Community-based Innovative Practices: Case Studies in Lake Malawi Riparian Villages

発表者は、フューチャー・アースのプロジェクト「貧困条件下の自然資源管理のための社会的弱者との協同によるトランスディシプリナリー研究」の紹介を通して、社会的弱者である普通の村人を研究パートナーとしておこなうトランスディシプリナリー研究が有用であることを示した。まず、研究するべき課題を村人といっしょに決め、そのプロセスを共有した。そして、村人との対話と慎重な検討によって、彼らが抱える制約について明らかにした。また、村人によるインターナショナルフォーラムを開催することで、新しいトランスディシプリナリーな方法論を発見した。最後に、今後の課題として、因果関係の連鎖をネットワーク分析することで、課題解決に向けて大きな変化を引き起こせるレバレッジ・ポイントの同定を目指していることが紹介された。

平野(野元)美佐/市野進一郎

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