【学会における企画パネル報告】2013年京都国際地理学会議における企画パネル“Conflict in Africa and ‘African potential’ for achieving coexistence based on indigenous knowledge and institutions”(京都国際会館、2013年8月5日)

(京都国際会館/2013年8月)
2013年8月5日から9日まで、京都国際地理学会議が京都国際会館にて開催された。本プロジェクトのメンバーである京都大学の大山修一氏(京都大学)が企画したセッション、“Conflict in Africa and “African potential” for achieving coexistence based on indigenous knowledge and institutions”にて、本プロジェクトとかかわりの深いアフリカ出身の研究者と共に研究発表を行ったので、以下に報告する。

報告

セッションでは、まず大山氏が、本プロジェクトと関連づけてセッションの趣旨説明を行った後「The conflict over land resource and local resolution between cultivators and pastoral people in Sahel region of West Africa」という報告を行った。大山氏はニジェールにおける牧畜民フルベ、トゥアレグと農耕民ハウサの紛争とその解決方法について事例を提示しながら説明した。紛争解決をローカルチーフ、役人、警察、または裁判所にまかせるよりも、民族間に張り巡らされた人間関係のネットワークを活用することがより効果的な解決方法である点が発表では強調された。

続いて、ザンビア大学のRichard Zulu氏が「A situational analysis of the urban housing sector in Zambia」という報告を行った。Zulu氏は、ザンビア都市部における住宅不足と居住環境整備について、80%の住居がインフォーマルかつ未計画に建設されたものであることに触れたのち、政策としてインフォーマルな住居の改善、建設業者の技術向上、さらに国民の所得の増加に注目する必要があることを述べた。

3つ目の報告は伊藤(京都大学)が「New land policy in Ethiopia and subsequent events in a village: a case from the forest area of southwestern Ethiopia」というタイトルで発表を行った。伊藤はエチオピアで2005年に公布された、土地利用に関する告示が引き金となって、農村部で紛争が頻発したものの、これらの紛争を通して農民は土地登記の重要性を認識し、土地登記が紛争を回避したり、農民の権利を守る1つの潜在力となる可能性を述べた。

最後にアジスアベバ大学のMamo氏が「Socio-economic transformation and dynamics of social conflict among the Dorze of southwestern Ethiopia」という報告を行った。Mamo氏は、エチオピア南部に居住するドルゼという民族の裁判について、近代的な司法と伝統的な裁判が共存している様子を述べた。ドルゼでは、伝統的な裁判を行うための調査や判決の下し方は現地の住民が行い、警察官は傍観しているだけであるが、判決が下された瞬間に被告が有罪の場合は警察に引き渡され、近代的な司法によって被告の罪が裁かれるという事例を報告した。

今回のセッションでは、時間の制限もあったことから、コメンテーター及び、総合討論の時間を設けることなく行われたが、聴衆にはアフリカ出身の研究者が多く見られ、活発な議論が行われた。

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