[第1回 全体会議/第1回公開講演会]「アフリカの紛争と共生:キックオフ」(2011年07月02日開催)

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日時:2011年7月2日 (土) 13:30~16:00
場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
共同主催:京都大学アフリカ地域研究資料センター
事前申し込:不要   Flyer(PDF)

内容

現代のアフリカ社会が直面する最大の困難は、紛争による社会秩序の解体と疲弊です。アフリカでは、とくに1990年代に入ってから大規模な内戦や地域紛争が頻発し、また、土地の所有と利用をめぐる暴力的衝突や政治資源をめぐる地域的な争いなど、多種多様な紛争が起こっています。そして国際社会は、リベラル・デモクラシーなどの欧米出自の思想や価値規範にもとづいて、こうした事態の解決をめざしてきました。 これに対して本ワークショップでは、まったく異なる立場をとります。それは、紛争解決や共生の実現のためにアフリカ人がみずから創造・蓄積し、運用してきた知識や制度があるという視点です。ただし、そうした知識や制度はアフリカに固有で変わらない実体ではなく、外部世界とのあいだで衝突や接合を繰り返しながら生成されたものです。本ワークショップではこうした知識や制度を、現在の紛争処理や社会修復のために活用する道を考えます。

キーワード

ルワンダ, 平和構築, 南スーダン共和国, ポストコンフリクト, 国家建設

プログラム

13:30~13:45 趣旨説明:太田 至(京都大学)
13:45~14:45 栗本英世(大阪大学)「回復しないコミュニティレベルの平和 ―「戦後」南部スーダンにおける平和構築の課題と限界―」
14:45~15:00 休憩
15:00~16:00 武内進一(JICA研究所)「紛争後ルワンダの国家建設とガチャチャ」

報告の概要

「趣旨説明」 太田至(京都大学)

本ワークショップは、2011年度から5年間の予定で実施する研究プロジェクト「アフリカの潜在力を活用した紛争解決と共生の実現に関する総合的地域研究」(科学研究費補助金・基盤研究(S))のスタートを記念するものである。現代のアフリカ社会は、紛争による社会秩序の解体と疲弊という大きな困難に直面している。この現実的課題に対して本プロジェクトは、西欧近代の制度や価値観を導入して対処するのではなく、アフリカ人がみずから創造・蓄積し、運用してきた知識や制度(=潜在力)を解明し、それを紛争解決と社会秩序の構築(=共生)のために有効に活用する道を探究することを目的とする。(太田至)

「回復しないコミュニティレベルの平和―「戦後」南部スーダンにおける平和構築の課題と限界―」 栗本英世(大阪大学)

Unrestored Peace at the Community Level: Challenges and Limits of the Peace-Building in the “Post-War” Southern Sudan Eisei Kurimoto (Osaka University) 2011年7月に独立が予定されている南スーダンでは、2005年の包括的平和合意の調印後、スーダン政府軍とスーダン人民解放軍(SPLA)の間には平和がおおむね保たれている。しかし、コミュニティレベルの平和は十分に達成されておらず、異なるコミュニティ間だけでなく同一のコミュニティ内でも武力紛争が発生している。コミュニティレベルの和解の促進を目的とした平和会議が開催されている地域もあるが、十分な成果は上げておらず、そのような試みすらなされていない地域もある。地域社会を再構築していくためには、コミュニティに内在する平和への意志(「平和力」)に注目した「下からの平和」のアプローチが重要であるとともに、「下からの平和」の動きを政府らが実施する「上からの平和」の営みと有機的に接合していく必要がある。 質疑応答の時間には、「下からの平和の営みを支援するためには具体的にどうすればいいのか」、「下からの平和と上からの平和の営みをだれがどう接合するのか」、「平和会合の開催だけでなく、より個人レベルでなされる商業活動を活性化していくことが必要ではないか」といった質問をもとに議論がなされた。(佐川徹)

「紛争後ルワンダの国家建設とガチャチャ」 武内進一(JICA研究所)

Rwanda’s Gacaca under the Post-Genocide State Building Shinichi TAKEUCHI (JICA Research Institute) 紛争後の国家建設と平和構築を、「政治的安定(Political sustainability)」と「異議・アカウンタビリティ(voice and accountability)」の指標から判別すると、三類型に類別できる。その類型とは、(1)両者の指標が低位のタイプ(例 アフガニスタン、スーダン)、(2)「政治的安定」の改善が「異議・アカウンタビリティ」指標の改善より大きいタイプ(例 ルワンダ、アンゴラ)、(3)「政治的安定」と「異議・アカウンタビリティ」の両方が改善したタイプ(例 ブルンジ、リベリア)である。紛争後の国家建設の実態は、国際社会の想定とはギャップがあり、紛争当事者の一方が政権を握ると強権化し、レジティマシーが失われる可能性が高くなることが指摘された。1990年~1994年にかけて内戦とジェノサイドを経験したルワンダでは、RPF(ルワンダ愛国戦線)が紛争後の国家建設を進めてきた。そのなかで、ジェノサイドに荷担した人物を裁く裁判、ガチャチャがおこなわれ、そのなかでは自白による刑期の半減が認められた。ガチャチャという裁判制度が始まり、トゥチは家族を殺害した犯人の検挙、真相の解明を期待する一方で、フトゥは家族の冤罪を晴らし、釈放を期待していた。ガチャチャの判決は、ひどくゆがんだものではないが、RPFの戦争犯罪は扱われず、「勝者の裁き」となっている傾向にあるため、人々に不満と諦念を抱かせおり、「法の支配」や「民主的統治」に寄与したとはいいにくい側面がある。紛争後社会における治安維持およびレジティマシーの確立を両立させる国家建設が重要である。 質疑応答では、ルワンダとブルンジの紛争後社会のちがいについて、紛争終結の仕方、国際社会の関与の強さが強く関係することが議論された。(大山修一)

参加人数:85名

 

カテゴリー: 全体会議, 研究活動 パーマリンク