[第15回公開ワークショップ/経済・開発ユニット第7回研究会]西浦 昭雄「成長する東アフリカのビール産業」(第198回アフリカ地域研究会との共催、2013年10月17日開催)

日 時:2013年10月17日 (木) 15:00~17:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室

プログラム

「成長する東アフリカのビール産業」
西浦 昭雄(創価大学学士課程教育機構・教授)

要 旨

東アフリカのビール産業は外資系資本による内需型製造業として成長を遂げている。原料である大麦の現地調達化が推進されることで現地農業にも影響を与えており、例えば、ウガンダ最大手のウガンダ・ブルワリーズ社は6千を超える小売店を定期的に訪問するなど、きめ細かなマーケティング戦略を展開している。本発表ではビール産業を通じてアフリカ経済を理解する新しい切り口を探っていきたい。

[第14回公開ワークショップ/生業・環境ユニット第7回研究会]山本佳奈「共有地をめぐる住民の対立―タンザニア農村の季節湿地における耕地拡大」(第196回アフリカ地域研究会との共催、2013年06月20日開催)

日時:2013年6月20日(木)15:00〜17:00
場所:京都大学稲盛財団記念館 中会議室

プログラム

「共有地をめぐる住民の対立―タンザニア農村の季節湿地における耕地拡大」
山本佳奈(日本学術振興会特別研究員(PD)/京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

要旨

アフリカ各地に分布する湿地の大部分は、地域住民が共同で利用する共有地として存在してきたが、近年になって耕地が拡大し、世帯ごとに囲い込まれる傾向にある。湿地の耕地化はしばしば人々の間に利害関係を生みだし争いの種にもなっている。本発表ではタンザニア農村の季節湿地で耕地が拡大した経緯と背景を示しつつ、その過程で環境利用をめぐり争いながらも現状に合った共有地のあり方を模索していく人々の姿を明らかにする。

[第13回公開ワークショップ/社会・文化ユニット第10回研究会]Michael Bollig 「Fragmentation, Cooperation and Power: The Institutional Dynamics in Natural Resource Governance in North-western Namibia」(第15回Kyoto University African Studies Seminar (KUASS)との共催、2013年05月14日開催)

日時:2013年5月14日 (火) 14:30~16:30

場所:稲盛財団記念館3階、318号室


題目:「Fragmentation, Cooperation and Power: The Institutional Dynamics in Natural Resource Governance in North-western Namibia(断片化と協同、そして権力 ―ナミビア北西部における自然資源管理に関する諸制度の動態-)」

発表者:Prof. Dr. Michael Bollig (Institute for Social and Cultural Anthropology, Vice-Rector for International Relations, Diversity and Academic Career, Universität zu Köln)

要旨

現在、共同で利用される資源の管理に関する理論では、以下のことが仮定されている。すなわち、もし共同体が、資源にアクセスする権利や資源を適切に管理する権利を与えられれば、そして共同体が資源の過剰な利用やただ乗り(コストを負担せずに利益だけを得ること)を防止できる制度をもてるならば、共同体は、持続的な資源管理の制度をつくり出 すことができるようになる。
農村地域の共同体は、持続的で効率的な資源管理を実現するための基礎となりうるとみなされ、資源を私有化したり国家の管理のもとにおくというやり方に対して、共同体は有効な代替策となると考えられてきた。
ナミビアでは近年、農村地域における資源のコミュナルな管理をめざして包括的な法改正がおこなわれ、土地の持続的な利用と農村の発展を同時に達成するための制度的な枠組みを創出する試みがなされてきた。そして政府は農村の共同体に対して、さまざまな権利を委譲したが、そのやり方があいまいで断片的なものであったために、異なる主体のあいだで土地所有権が重複してしまうという多くの事例が発生した。
現在、農村共同体は、こうして出現した「新しいコモンズ」をどのように制度化するのかという課題に取り組んでいる。その制度は、以前から存在する共同体的な制度のうえに接合されるのだが、同時に、国家による法律の制定と NGO の参画にも影響を受けることになる。
この発表では、こうした制度が形成されていくプロセスを論ずる。その際には、とくに、集団(共同体)の境界を決める必要性から生じる諸問題、新たに決められた土地の共同所有体制のもとでおこなわれる監視と制裁から発生する問題点、そして、CBNRMがたどってきたさまざまな軌跡にはどのようなイデオロギーの土台があるのかに焦点をあてる。

ABSTRACT

Contemporary theoretical accounts of common pool resource management assume that communities are able to develop institutions for sustainable resource management if they are given security of access and appropriate rights of management, and if they can develop institutions that prevent free-riding and over-exploitation. Rural communities have been conceptualized as cornerstones of sustainable and efficient resource management: as a viable alternative to privatizing resources or putting them under state administration. In recent years comprehensive legal reforms of communal rural resource management in Namibia have sought to create an institutional framework linking sustainable land use and rural development. The state, however, ceded rights to communities in an ambiguous and fragmented manner, creating a number of instances of overlapping property rights. Nowadays communities grapple with the challenge of instituting these “new commons”, which are grafted onto earlier communal institutions, but also shaped by state legislation and the engagement of non-governmental organizations. This presentation describes the process of institutional development, focusing on the challenges arising from the necessity to define group boundaries, the issues arising from monitoring and sanctioning within a newly defined common property regime, and the ideological underpinnings of different trajectories of community based natural resource management (CBNRM).

※ 講演及び配布資料は英語を使用いたします。日本語資料は発表要旨のみとなります。

共催:
アフリカ地域研究資料センター
科研基盤(S)「アフリカの潜在力を活用した紛争解決と共生の実現に関する総合的地域研究」(代表者:太田至)
この講演会は、京都ケルン姉妹都市提携50周年記念事業のひとつとして実施します。

[第3回アフリカの紛争と共生セミナー]「2012年度海外派遣者報告会」(2013年05月11日開催)

日時:2013年5月11日(土) 15:00-17:00
場所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室

プログラム

15:00-15:40
福井美穂(お茶の水女子大学グローバル協力センター特任講師)
人間の安全保障の視座に基づくポストコンフリクト期のジェンダーに基づく暴力(Gender-Based Violence: GBV) 問題の研究と実際的対応の模索

15:40-16:20
久田信一郎(京都大学アフリカ地域研究資料センター研究員)
P3DMを活用した土地紛争の重層的な関係の解明
―エチオピア南西部高地農耕民アリの事例―

16:20-17:00
井手上和代(神戸大学大学院国際協力研究科博士後期課程)
アフリカにおける資本市場と企業の資金調達

要旨

人間の安全保障の視座に基づくポストコンフリクト期のジェンダーに基づく暴力(Gender-Based Violence: GBV)問題の研究と実際的対応の模索
福井美穂(お茶の水女子大学グローバル協力センター特任講師)

本研究は、ポストコンフリクト期における国際的支援者による被支援者に対するGBV対策について、人間の安全保障という被害者中心の視座を導入することで、さらなる予防の促進および法的および行政処分の徹底、そして被害者の支援・保護の強化について、より具体的な政策提言および組織的対策に関する提言につながる研究を行うことを目的としている。特に事件直後の、仮想加害者の所属する多様な組織の行うべき予防対策および被害者支援を検討する。フィールド調査は、被害者支援の現状と、被害者中心の視座を導入した被害者支援内容の理解のためポストコンフリクト期にGBVを経験したシエラレオネおよびリベリアで調査を行い、ポストコンフリクトから開発への移行期にあるシエラレオネでは政府主導のGBV対策の成果と被害者支援の現状を、未だ国連PKOが展開するリベリアでは、国連を主体とする最新のGBV対策を調査した。ポストコンフリクト期からGBV被害者支援されることにより開発期に続くアフリカの人間の安全保障に関わる「潜在力」を模索する。その調査内容から、加害者の所属組織や法的地位にかかわらず被害者が支援を受けられるよう、加害者所属組織を中心とした国際社会による被害者支援の在り方を考察する。

P3DMを活用した土地紛争の重層的な関係の解明
―エチオピア南西部高地農耕民アリの事例―
久田信一郎(京都大学アフリカ地域研究資料センター研究員)

エチオピアは、1991年5月に社会主義政権が倒されて、1996年からエスニック・グループ単位の連邦制となった。本事例研究は、アリが住む南部諸民族州、南オモゾーン、南アリ郡、ドルドラ村内のガラメルティ集落にて行なった。この集落は、世帯数が165(人口890人)で、標高が2400-3200mの高地にあり、面積が約2キロ四方で、その東側がドルドラ森林に接している。主な生業は、農耕で大麦、小麦、豆類を栽培し、牛、羊などの家畜を肥育している。これらの家畜は、耕作期間中にドルドラ森林内にて牧童に連れられて放牧されている。アリでは、1990年代初めに急激な人口の増加と家畜の市場価格高騰による肥育数の増加が起こった。調査地では、これと時を同じくして高地の森林部分の開墾が起こった。耕作地を隣接するもの同士の境界線の争いや、家畜が他人の土地で草や作物を荒らす被害の調停は、村の下部組織である集落を単位として選ばれたリーダーか、その村内の長老が行なってきた。それでも解決できないときには、行政組織であるカバレ(村)の評議会に調停や裁決を仰いできた。本調査では、ガラメルティ集落の上層部にて開墾が行なわれたにもかかわらず森林存続に影響を与えた要因を明らかにする。

私は2008年5月よりこの地域のアリが住む高地にて住民参加型手法によって作成した立体地形モデルを使って土地利用の視覚化をおこない森林部分の開墾地と開墾者どうしの親族・姻戚関係について調査してきた。耕作地の開墾と森林利用の変化を把握するために、立体地形モデルを使ったワークショップとフィールドワークで得た情報をもとに、親族関係作成アプリケーション(Alliance3.3)を使って親族データベースを作成した。土地利用と親族関係というふたつの属性の違うデータを重ね合わせることにより、誰が誰とどのような関係を持ち、どの部分の森林の開墾を行なったかを把握した。それをもとに森林開墾を止めるために果した長老の戦略について考察した。

その結果、ガラメルティ集落の住民は、血縁の親族単位および姻戚関係を持ち良好な親族・姻戚関係を維持しつつ森林開墾を行ったことを見いだした。1996年以降の森と耕作地の境界は、行政が環境保全や森林資源保全のために指導して定めたのではなく、この集落の長老等が、行政にたいして森林と隣接する地区の住民による行き過ぎた開墾の中止を要請して定めたことが明らかになった。

アフリカにおける資本市場と企業の資金調達に関する一考察
―モーリシャスの製糖業による資本蓄積と工業化における資源移転の分析より―
井手上和代(神戸大学大学院国際協力研究科博士後期課程)

1968年の独立までにオランダ、フランス、イギリス3カ国の植民地を経験したモーリシャスは、砂糖輸出に依存した経済構造を持ち、製糖産業は国の主幹産業であった。一方、国内では高い人口増加率や深刻な財政状況を抱えており、産業の多角化を図り経済発展することが政府にとって重要な政策課題であった。その後1970年の輸出加工区(Export Processing Zone: EPZ)の設置により、一次産品輸出依存の経済から脱却し、アフリカにおいて輸出指向工業化により高い経済成長を遂げた成功例として“Mauritian Miracle”と称された。

モーリシャスにおける植民地支配の経験や外国資本の存在は、国内の人口構成や経済構造に決定的な影響を与えていると考えられるが、事前の調査より、モーリシャスの経済成長を支えた要因の一つとして、フランス植民地時代より続く砂糖の輸出による国内の資本蓄積がEPZにおける繊維・衣料産業への投資を可能にしたと想定される。本研究では、製糖業者の発展過程および、EPZ企業や金融部門との関連性を明らかにすることで、上記の仮説を検証し、さらにその結果を踏まえ、アフリカにおける資本市場の整備を考える上で企業の所有構造の寡占が一般的であるアフリカ社会において、単に企業発展のための資金供給ではなく、国の包括的な成長の為の、金融システムの在り方を考察することを目的とする。

[第12回公開ワークショップ/社会・文化ユニット第9回研究会]Wilbert Zvakanyorwa Sadomba「The Urban Working Class Dimensions of Zimbabwe’s War Veterans Revolution: New Empirical Evidence from the Informal Sector」(第12回Kyoto University African Studies Seminar (KUASS)との共催、2013年03月19日開催)

日時:2013年3月19日 (火) 16:00~18:00
場所:京都大学稲盛財団記念館3階小会議室2
題目:「The Urban Working Class Dimensions of Zimbabwe’s War Veterans Revolution: New empirical evidence from the informal sector」
発表者:Dr. Wilbert Zvakanyorwa Sadomba (Department of Sociology, University of Zimbabwe)

要旨

The revolution that has been spearheaded by Zimbawean veterans of the 1970s guerrilla war has pushed Africa’s political, social and economic struggles to new horizons. It raises fresh philosophical questions about postcoloniality of and in Africa. The revolution, rooted as it is in the liberation struggle that culminated in a protracted war from the1960s to 1979, lay a political foundation that continues to shape philosophical thought and social practice of this small nation, with ripple effects on the whole continent and perhaps other developing nations across the world. The essence of this revolution is its combined challenge of neo-colonialism and imperialist domination supported by settler economic hegemony. There are four distinct rural and urban movements on which this revolution was anchored, viz. the land, informal mining, housing cooperatives and informal industry and trade movements. A combination of the two books focus on the land and housing cooperatives. Of the five the land movement was the most popularised and internationalised but it was by no means the most dramatic or even the most sustainable but on the contrary it was the most vulnerable to neo-colonial forces and imperialist attacks. However it was also the most symbolical. Current studies on the informal industrial movement add more empirical evidence to this theorisation. Future studies will pursue informal mining as part of the war veterans revolution. The address will illustrate how the war veteran revolution generated a centrifugal force that span the movements and it will discuss relative successes and failures of these in the current political stalemate of the country.

(※講演は英語で行われます。日本語通訳および日本語資料はございません。事前申込不要/参加無料。どなたでもご参加いただけます。)

共催:
・京都大学アフリカ地域研究資料センター
・科研基盤(S)「アフリカの潜在力を活用した紛争解決と共生の実現に関する総合的地域研究」(代表者:太田至)

[第11回公開ワークショップ/社会・文化ユニット第8回研究会]Ronald Niezen「Human Rights NGOs and Strategies of Public Justice in Sub-Saharan Africa」(第11回Kyoto University African Seminarとの共催、2013年02月02日開催)

日 時:2013年2月2日(土)15:00〜ž17:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館3階小会議室2

プログラム

15:00-17:00
Ronald Niezen (Department of Anthropology, McGill University)
ロナルド・ニーゼン(マギル大学)
“Human Rights NGOs and Strategies of Public Justice in Sub-Saharan Africa”
「サブサハラ・アフリカにおける人権NGOと公共的正義の戦略」

要旨

人間の権利を侵害する者の評判を落とすような告発や抗議運動は、国家を人権遵守の方向へと動かすために、もっとも大きな影響力をもつもののひとつである。このような「恥の政治」の効果やその結末は、NGOネットワークの性質や、正義を求めるロビー活動への参加のあり方によって、多様なかたちをとる。このことは、西アフリカのトゥアレグの主張や戦略と、ケニアのサンブル社会におけるウモジャ女性村のそれとを比較することでよく理解できるだろう。国際的な先住民運動がサブサハラ・アフリカでも展開されるようになってきたことは権利遵守が進む過程について考える機会を提供しているし、その過程は、遠く離れた場所にいる人びとを受け手とするトランスナショナルな公共的取り組みに影響を受けている。

The most significant influence on states that moves them in the direction of human rights compliance involves campaigns of public exposure and protest intended to apply reputational costs to violators of rights. The effectiveness and social consequences of these “politics of shame” vary considerably according to the nature of NGO networks and public participation in justice lobbying. This can be understood by comparison between the claims and strategies of the Tuareg in West Africa and those of the Umoja Women’s village among the Samburu of Kenya. The extension of the international movement of indigenous peoples into sub-Saharan Africa presents an opportunity to consider emerging processes of rights compliance, influenced by trans-national public engagement with distant public audiences.

[第10回公開ワークショップ/南部アフリカ・クラスター第4回研究会]村尾るみこ「アフリカ農民の創造性―ザンビア西部州アンゴラ移住民の生計戦略」(第193回アフリカ地域研究会との共催、2013年1月24日開催)

日 時:2013年1月24日(木)15:00 ~ 17:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室

プログラム

「アフリカ農民の創造性―ザンビア西部州アンゴラ移住民の生計戦略」
村尾るみこ(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、研究機関研究員)

要 旨

アンゴラ移住民は、紛争を理由に南部アフリカのザンビア西部の農村に滞留する自主的定着難民である。彼ら/彼女らは、故地であるアンゴラからザンビアへの移住後、ナショナル・グローバルレベルでの政治経済変化のなかで土地利用などに関する制約を受けている。本講演では、アンゴラ移住民の生計戦略にみられる創造性に注目し、政治経済変動下のアフリカ農民にみられる諸特徴を検討する。

[第9回公開ワークショップ]Kate Meagher「Taxing Times: Informal Economies and Religious Conflict in Northern Nigeria」(第9回Kyoto University African Studies Seminar (KUASS)との共催、2012年11月16日開催)

日 時:2012年11月16日(金)15:00~17:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室

演題:「Taxing Times: Informal Economies and Religious Conflict in Northern Nigeria」
発表者:Dr. K. Meagher(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
※講演は英語でおこなわれます。

要 旨: This lecture is based on research carried out in northern Nigeria in late 2011, just before the acceleration of terrorist bombing. It examines the role of informal economic activities, which in Nigeria tend to be based on ethnic and religious forms of organization, in exacerbating or mitigating religious conflict. The lecture focuses on three categories of informal activities, characterized by economic interdependence, competition and value conflicts between Christian and Muslim enterprise groups. It examines how the nature of informal economic relations influences inter-religious relations between each of these three categories of enterprises, and considers how government policy contributes to strengthening or undermining positive tendencies, or exacerbating negative processes. In the process, the lecture reveals the underlying basis of religious tension in northern Nigeria, and the social resources available to address it.

[第8回公開ワークショップ/生業・環境ユニット第5回研究会]根本利通「タンザニアの国民意識の形成」(第191回アフリカ地域研究会、2012年11月15日開催)

日 時:2012年11月15日 (木)15:00〜17:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館3階318室

プログラム

「タンザニアの国民意識の形成」
根本利通(Japan Tanzania Tours Ltd.)

要 旨

1885年のベルリン会議によって分割されたアフリカ大陸では、多民族の住む地域に国境線が与えられた。この各植民地が独立し、国民国家の形成を目指す中、その多くが民族紛争を繰り返すことになった。しかしタンザニアは独立50周年を過ぎ、大きな民族対立、内戦を経験せずにきている。タンザニアの近現代を19世紀半ばから振り返ってみたい。

[第2回アフリカの紛争と共生セミナー](2012年10月20日開催)

日 時:2012年10月20日(土)13:30~18:00
場 所:京都大学稲盛記念館3階小会議室I

プログラム

13:30~14:35
岡野英之(大阪大学国際公共政策研究科)
武力紛争経験国における国家とローカルな社会秩序の維持―シエラレオネを事例として―
14:35~14:45 休憩
14:45~15:50
藤井真一(大阪大学人間科学研究科)
紛争解決と/の人類学―ソロモン諸島の「民族紛争」から
15:50~16:00 休憩
16:00~17:05
伊東未来(大阪大学人間科学研究科)
ニジェール河内陸三角州における生業と民族
17:05~18:00 総合討論

要旨

武力紛争経験国における国家とローカルな社会秩序の維持―シエラレオネを事例として―
岡野英之(大阪大学国際公共政策研究科)

現在の世界において国家からの影響は避けることができない。ローカルな社会秩序の維持も例外ではない。本発表では、紛争前・紛争中における社会秩序の解体や疲弊、それに連続する紛争後の社会秩序の回復が、国家といかに関わっているのかを論じていく。なお、本研究ではシエラレオネ農村部における社会秩序を事例として扱う。

紛争解決と/の人類学―ソロモン諸島の「民族紛争」から―
藤井真一(大阪大学人間科学研究科)

本報告では、紛争解決(conflict resolution)と人類学とがどのように関連付けられてきたかを整理する。次いで、ソロモン諸島で生じた「民族紛争」と紛争解決の動きを紹介する。最後に、ソロモン諸島における紛争後社会の再構築をめぐる諸事例を通じて、紛争解決と/の人類学の可能性について考える。

ニジェール河内陸三角州における生業と民族
伊東未来(大阪大学人間科学研究科)

ニジェール河内陸三角州に生活する複数の民族、とりわけ牧畜をになうフルベと農業をになう諸集団の関係に焦点をあてる。彼らがすみ分けや資源の共有をいかにおこなってきたのか、問題が起きたときいかに解決をはかってきたのか、ここ30年年あまりの干ばつや市場の変化は両者の関係にどのような変化をもたらしたのか、などを明らかにする。